向日葵《短編》
俺は教室の窓を開け、このどんよりとした空気を入れかえた。
夏の風は生ぬるくて、あまり好きじゃない。
席に座り、頬杖をついて空を見上げた。
輔は俺に『素直になれよ』と言って、自分の席に行った。
素直になれ?
そんなこと出来るかよ。素直になんかなったら…悲しむのは唯だぞ?
唯の泣き顔なんか見たくない…
…授業が全て終わると、俺は輔とグラウンドへ出て、部活着に着替えて、グラウンドを何周も走った。
走っている間、輔は唯の話題をあえて出さずに、麻由の話題を出してきた。
『西川はいい子だ』
『付き合えば?』などと言ってくるが、俺は適当に輔の話を流していた。
そして走り終わり、サッカーボールでパスの練習をしていると、ライバルが登場してきた。
『中村先輩!おはようございます!』
輔は先輩に挨拶をするが俺は黙ったまま。
…あなたは、俺の大事な人を奪った人だから…