向日葵《短編》
あなたは風のようにさらりと俺の大事な人を奪っていきました。
許せない、と心の中の俺が叫んでいる。
でも、口に出しては言えない。
夏は日が落ちるのが遅い。
そのため、部活がいつもより長くなる。
楽しいサッカーも、楽しくなくなっているのが今の現状。
先輩と、一緒にいたくないという気持ちが膨らんでいくばかり。
『葵、ちょっといいか?』
するといきなり中村先輩が俺に近づいてきて、こう言った。
俺は無言のまま下を向き、輔にボールを蹴った。
『何ですか?』
先輩に目を向けずに、輔とパスを続ける。
『唯ちゃんのことで…』
ボールが輔から蹴られてきた。
俺はそのボールを足で止める。
次第に、怒りが込み上げてくる。
なんで俺に聞くんですか?