向日葵《短編》
そんな唯が大きいのかな?
考えるのはよそう…
自分が苦しいだけだから。
『麻由は絵描くの好きなの?』
俺は麻由の絵を見る。
麻由が今色付けをしている絵は、風景画だった。独特な色使いをしていて、絵の世界に引き込まれそうになる。
『うん、好きだよ。絵を描いているときが一番落ち着くの』
こう言って、微笑みながら色をつけていく麻由。まるで、絵に愛情を注ぐかのように。
麻由は偉いな。
好きなことを好きって言えて。
『…そっか、麻由はすごいな』
俺は背伸びをしながら麻由に言う。
すると麻由は顔を真っ赤に染め、小さな声で『ありがとう』と呟いた。
静かすぎる美術室は、
俺の心を癒やしてくれているみたいだった。
ここは、何故か落ち着ける空間。
唯を、一瞬でも忘れられる空間だった。