向日葵《短編》
美術室の壁にある時計をみると、もうここへ来て30分以上が経っていた。
美術室からグラウンドを覗くと、今は練習試合をしているようだった。
練習試合は俺が大好きなこと。
俺は麻由に別れを告げ、去って行こうとしたとき、麻由は俺を引き止めた。
『待って、葵君…』
『ん?何?』
麻由は筆を置き、立ち上がり、俺の方に歩いてきた。
麻由はまだ顔を真っ赤に染めている。
夕日のせいかな?
『葵君、きっと気づいていると思うけど…』
『うん?』
麻由はゆっくりとした口調で話を進めていく。
『私、葵君が好きなの…』
麻由のこの言葉と同時に、夕日が地平線へと沈んでいった。
俺はしばらく静止状態で、頭が働かなかった。
…麻由は今なんて言った?
俺が好きって…?
でも──…俺は……