向日葵《短編》
どくん、どくん。
空にはまん丸な月が俺達をひっそりと見守っていた。
『何でって…言われても…』
『葵は、麻由の気持ち考えたことある?毎日毎日葵のこと考えてたんだよ?』
この唯の言葉を聞いた俺は、体のどこかの線がぷつんと切れた音を聞いた。
何だって?
よくそんな言葉俺に言えるな。
じゃあお前は?
俺の気持ち考えてるの?
次第に沸々と怒りが込み上げてくる。
我慢が出来なくなった俺は唯の手をはらいのけ、眉間に皺を寄せ、唯を睨みつけた。
『じゃあお前は?』
いつもより低い声。
若干怯える唯。
粉々になってゆく、
俺の気持ち──…
『お前は俺の気持ち考えたことあんのかよ?』
『え…?』
『お前だってそうじゃねぇか。俺の気持ち、なんにも考えてねぇだろ?』
俺の大きな声が、街に広がっていく…