向日葵《短編》


『…唯…』


俺は唯の家の敷地の中に入り、唯の背中を見つめた。


『ねぇ葵?葵っていう字、向日葵からとったのかな?』



『なんで?』



その一輪の向日葵は、太陽に向かって咲いていた。
黄色が眩しくて…
綺麗で…


唯は立ち上がり、くるりと俺の方を向いて笑顔を見せた。


最高の笑顔を…
俺の大好きな笑顔を…



『だって葵の笑顔は向日葵みたいだから!』



その笑顔…反則だよ。
その言葉…反則だよ。


唯の笑顔が向日葵みたいに眩しくて綺麗だよ…



『バカ…じゃねぇの?』


込み上げてくる涙を必死に抑える。
唯になんか涙を見せられるか。



『私、葵のこと大好きだよ!だって葵は私に笑顔をくれたから!』



唯の言葉で、俺の願いは叶ったんだ。


届くはずがないと思っていたから…


唯は俺を大好きだと言った…



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