向日葵《短編》
唯と長い時間一緒にいるのに、何で自分の気持ちを言えないのだろう…
俺は学校帰り、唯に問い詰めてみたんだ。
ほんの少しだけ勇気を出して。
『なぁ、唯は好きなやつとかいねぇの?』
俺は中学に入った途端、身長が一気に伸び始めた。
つい最近まで唯と同じぐらいの身長だったが、今は俺の方が遥かに上。
唯は俺を見上げ、笑顔を作った。
『ん?どうかなぁ…いないよ?』
『…ふ~ん…そっか…』
俺は残念そうな口調でこう言い、道端に転がっていたジュースの缶を蹴った。
唯はこの時、嘘をついていたんだ──…
本当は…心の中に誰がいるということを知るのは─…随分先のこと。
俺は唯にバイバイと別れを告げ、疲れた足を家へと動かした。
『ただいま~』
俺は少し汚れた靴を脱ぎ捨て、リビングへと向かう。