秘密の花園
「うふふふふふ…」
「おい、起きろよ。涎垂れてるぞ」
え?よだれ?
寝ぼけている頭にいやにはっきりと聞こえた単語は乙女としてあってはならないものだった。
「やだ!!うそ!!」
着ているものが借り物だってことも忘れ、慌てて袖で口元をぬぐう。
隣に立っていたサタンが冷めた眼で言った。
「バーカ。嘘だ」
わなわなと体が震える。
む…ムカつく!!って、ん?
目の端々に映るこの物体はもしかして…。
「っかかか髪が茶色い!!い…いつの間に!!」
ま…魔法だ…!!やっぱり魔王は魔法を体得していたのか!!
色だけじゃなく感触もなんかふわふわしてるし!!
「いつの間にって…お前がグーグー寝てる間に決まってるだろうが」
「え?だってシャンプーとか…」
「お前、寝ながら移動してたぞ…」
どんだけ器用なんだよ…自分。
見られたのがまだサタンでよかった。
これで鼻ちょうちんでも出してたら、百年の恋も冷めるわ。
水瀬さんに恋してからというものの、妄想のレベルが上がってるような気がする。
いつか警察のお世話になるんじゃないかって本当に心配になってきた。