秘密の花園

ダウト




うーん。


それにしても人って変わるもんだな…。


鏡に手をついて顔を横に向けたり、下に向けたり、あらゆる面からこの髪型を観察する。


バランみたいな黒髪ストレートは小型犬も顔負けの茶色のふわふわクルクルヘアーになっていました。


あっ。色は変わってるけど前髪は元の長さのままだ。


一応、お願いはきいてくれたらしい。


それにしても。


服装と髪型を変えただけだけど、日頃乙女ゲーにうへうへしているとは絶対に想像できない。


サタンの顔をじいっと見つめる。


「なんだよ」


「いや、ホントに美容師だったんだなーって思って…」


自らの頭からゴツンと鈍い音がした。


「アイタっ!!」


「バカにしてんのか」


バカにはしてません…。


だってこの人、人相悪いし、愛想悪いし、口調は乱暴だし?


一般的な美容師像からかけ離れてたんだもーん。


職業詐称していたのかと思ってたんだよ!!


「ほら、さっさと化粧もしてこいよ!!」


蹴飛ばされそうになって慌てて逃げ出す。



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