秘密の花園
「どうせ私はピエロだよーー!!」
人目をはばからず叫ぶと、周りにいた人がぎょっと驚いたように振り返っていった。
ただでさえクソ暑くて気が変になりそうなのに、長袖の毛糸のワンピース着てる女が往来で叫んでいたら完全にイッちゃってるように見えただろう。
なんだよコンチクショウ!!
このどうしようもない憤りを吐き出したくて、近くにあったゴミ箱をヤケクソ気味に蹴ってみる。
ゴオ~ンと鈍い音ともに足に激痛が走る。
い…痛い…。
ああ、夢じゃないんだとこんなことで再確認する。
うぅ…もう嫌だ…。
慣れない靴で走ったせいでかかとは痛いし。
暑いし。
ゴミ箱蹴ったせいでさらに足は痛いし。
暑いし…。
…最悪だ。
こんな自分にほとほと嫌気がさす。
涙がこぼれるのを隠すように目をグシグシとこする。
「おい、大丈夫か?」
肩をグイッと引かれ振り向くとそこにいたのはサタンだった。