秘密の花園

決別





どうしてこんな時に限ってサタンに遭遇してしまうのだろう。


雑踏の中、対峙するのは魔王と勇者。


ただし魔王は走って追っかけてきたのに汗ひとつかかない人外の生物で。


勇者は恋に破れて瀕死状態。ゲームだったら、HPが赤信号に点滅してる。


先攻のサタンは、ジーンズのポケットに手を入れながら私を上から下まで眺めると、はあっと深く息を吐いた。


「なんだよ。元気じゃんか。あずなの奴、大袈裟に言ったな…」


その言葉でサタンの行動の理由がわかった。


思わず頭を抱えたくなった。


「あずなさんのばかぁ…」


いくらなんでもサタンに話さなくてもいじゃんか!!


もう、踏んだり蹴ったりで涙目だ。


しかし、さらに悲劇は続いていく。


「体調悪いんだろ。家まで送ってく」


サタンの連続攻撃!!理香に15のダメージ!!


アウチッ!!


辛うじて全滅は免れたが、信じられない。


何をとち狂ったのか、「家まで送る」なんて、人間らしい気遣いをしやがりましたよ。


あのサタンが。


魔王のクセに!!



< 136 / 289 >

この作品をシェア

pagetop