秘密の花園



今までこんなことがあっただろうか。


私の花園にずかずかと土足で踏み込んで荒らしていって、半強制的にカットモデルに仕立て上げたこの男が。


天上天下唯我独尊を地でいくサタン様が。


私を「家まで送ってく」?


あわわわわわわわわわわ!!


想像しただけでも恐ろしい…。


天変地異の前触れか?


さては昨今の経済状況もサタンの気まぐれのせいなのか?


返答次第では私の身にもとんだ災難が降りかかるやもしれない。


半ば本気でエクスカリバーを探しに行こうと思っていると、不意打ちを食らった。


「おーい、聞いてるか?」


サタンはペチペチと頬を叩いた挙句に思い切り抓りやがった。


「いいいいいいいっ!!痛いっ痛いっ痛い!!」


「ほら、行くぞ」


やっぱりサタンはサタンだった。


サタンは有無を言わさず、私を連れていくつもりだ。


その傲慢さが、ムカつく。


「いいよ!!ひとりで帰れるから」


私はサタンを振り切るために早足で歩き出した。


今は誰とも一緒にいたくない。早くひとりになりたい。


サタンと一緒にいたらもっと惨めになりそうだった。



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