秘密の花園
私は思わず自嘲しながら尋ねた。
「ねえ、面白かった?」
私が水瀬さんのことが好きだって知っていたのに。
失恋するって知ってたのに。
カットモデルになれって。
けしかけたのは…こいつだ。
「私のこと陰でせせら笑ってたんでしょ?楽しかったでしょ?」
サタンは答えない。
でもいいの。慣れてるから。
オタクのくせにって、陰で笑われることなんてそれこそ日常茶飯事だし。
ただ、悔しい。
恋する気持ちは誰だって同じなのに、それを笑われるような自分が悔しい。
私は顔を上げてキッとサタンを睨みつけた。
「バカにしないでよ!!確かに女らしくない私だって、恋だってすれば傷つきもする!!」
はらわたが煮えくり返りそうだった。
私の気持ちを弄んで、それを笑ってたのなら絶対に許せない。
サタンの顔に向かってハンカチを投げつける。
「あんたなんかだいっきらい!!」
盛大な捨て台詞を吐いた私は今度こそサタンに掴まらないように走って駅まで駆けていったのだった。