秘密の花園
シミュレーション9
おかんあかん
「お姉ちゃ~ん…。いい加減出てきなよ…」
呆れ果てている唯香の声がドアの外から聞こえる。
それでも私の指の動きは止まらない。
薄暗い画面が煌々と光っている。
ソウイチさんのみを視界に入れるために、日の光が入らないよう部屋を締め切っているせいだ。
おかげで今が昼なのか夜なのか判別がつかない。
唯香が呼びにきたってことはおそらく夕方なのだろう。
こういう時、大学生でよかったと思う。
高校生の唯香より夏休みが長い。
心置きなくゲームに興じることが出来る。
そしてゲームをしている時だけは色んなことが忘れられた。
頭から布団を被ってコントローラーを握りしめていれば、この世界は平和そのもの。
まさに地上の楽園。
そう、私は帰ってきたのだ。
秘密の花園に。
私だけのオアシスに!!