秘密の花園
「理香ちゃんってすごくいい髪してるね」
椅子に座ってタオルを首に巻かれた私の髪を水瀬さんがスッと撫でる。
「そ、そんなことないです!!」
鏡に映る水瀬さんの表情がとても優しそうでドキドキする。
やっぱりソウイチさんにそっくり…。
「痛みも少ないし、艶もあるよね。手入れはしてるの?」
「し…してないです」
「何かしとくといいよ。市販のトリートメントでいいから」
家に帰ったら唯香のお手入れグッズを奪い取って頭に塗りたくろうと密かに心に決める。
「じゃあ切っていくね。目瞑っててね」
言われた通り目を瞑る。
シャキシャキとハサミが動く音がして髪がハラハラと落ちてくる。
よく考えてみれば、床屋のおっちゃん以外の男の人に髪の毛切ってもらうのって初めてだ。
うわ…。なんか緊張するかも…。