秘密の花園
シミュレーション10

定番中の定番?




意を決して美容院の扉を叩いた私に知らされたのは予想外の事実だった。


「え!?休み?」


「ごめんね、理香ちゃん…。折角来てもらって悪いんだけど、和馬くん他の人と休みの日を交代しちゃったのよ」


手を合わせてごめんねとあずなさんは本当にすまなそうに謝ってくれたけれど…。


むしろ私にとっては好都合なのではないか!?


ひやっひょーい!!


喜びのあまり小踊りしてしまいそうだ。


「じゃあ!!これ、サタン…いや佐田さんに返しておいてくれませんか?」


「なあに?これ」


「先日お借りしたまま、着て帰ってしまったお洋服です」


「ああ!!あれね!!」


あずなさんはポンと思い出したように拳を手のひらに打ちつけた。


しかしすぐにあれっと首を傾げた。


「でも和馬くん、理香ちゃんが着てた物は全部買い取ったみたいだったけど?」


「へ?買取って…。これ全部!?」


「そうだよ。それ全部」


あっけらかんとしているあずなさんとは対照的に私は愕然とした。



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