秘密の花園
「前髪は切ったから目開けてもいいよ」
言われるがままに目を開け、鏡ごしに水瀬さんの手先が器用に動くのを眺めた。
水瀬さんの手が淀みなくスムーズに動いて、ヤボったかった髪の毛を徐々に軽くしていく。
すごいなあ…。
感心しながらその真剣な顔つきを盗み見ると、やっぱりソウイチさんに似ていて何だか戸惑ってしまう。
まるでソウイチさんに切ってもらってるみたい…。
よ…涎がでそう…。
花園にいるときのようにだらしない顔になるのを頑張って我慢する。
でも妄想はとまらない。
ソウイチさん…。
まさかこんなところであなたに会えるなんて…。
これって運命かしら?
「はい、終わり」
乙女チックロマンスタイムは水瀬さんのその合図で終わりを告げた。