秘密の花園
「ぜひまた来てね」
水瀬さんは店の出口まで来てくれて、私達を見送ってくれた。
小さく手を振る仕草はやっぱりソウイチさんに似ていた。だからなのか胸が高鳴ってどうしようもなかった。
私ったらどうしちゃったんだろう。現実の男に興味なんてなかったんじゃないの?
そう思っていても、お会計のときにもらった名刺は財布の中に大事にしまっている。
なんだか頭がボーっとして何も考えられない。
「どうしたの?お姉ちゃん」
美容院を出てからというもの、一向に口を利かない私を不審に思ってか、唯香が話しかけてきた。
「水瀬さんって…ソウイチさんに似てると思わない?」
「えー?似てるかなあ?」
唯香は思い出そうとしているのか手を顎に当てて考えだした。
「似てるよ、絶対」
だって私がソウイチさんを見間違えるはずないもの。
毎日彼のためにテレビの前に座り、ジンテンドーTSをやってきたんだもん。
私以上にソウイチさんを愛してる女なんていないんだよ!!