秘密の花園
「……え?」
私は自分の見たものが信じられなくて、目をごしごしと擦った。
何度擦っても視界に映る風景は変わらない。
……ない。
どこを探しても、ない。
私の大好きな乙女ゲーおよび関連グッズがない!!
私を天国へと誘ってくれるテレビとゲーム機本体。テーブルの上にうず高く積んであったゲームソフトとその攻略本。徹夜して並んで手に入れた限定グッズの数々。
……そのどれもがこの部屋からなくなっていた。
涙目になって押し入れやら机の中を引っ掻き回す。
どうして!?どこに行っちゃったの?もしかして泥棒!?
私は慌てて今しがた上ってきたばかりの階段を駆け下りた。
「お、お母さん!!私のゲームがない!!」
ママンに縋り付いて必死になって訴える。ママンは娘の一大事だというのに呑気にせんべいを食べながら答えた。
「そんなもの最初から部屋にはなかったわよ」
「嘘だ!!昨日家を出る前まではちゃんと部屋に……」
「理香……」
……阿修羅が乗り移ったママンに睨まれてようやく気が付いた。
「お母さんがないと言ったら、ないのよ。分かったら酒臭いその口を閉じなさい」
……私のゲームを捨てたのは他ならぬお母さんだと。