秘密の花園
ステキ女子★大作戦①
「ねえ、本当に行くの?」
「良いから、良いから」
渋る私の背中を強引に押す唯香に文句を言いつつ、電車に乗って待ち合わせの場所へとやってくる。
本当は来るつもりなんてなかったのに……。
どうせ可愛くなんてなれっこないもの。
ここにきてマイナス思考がうじうじと顔を出して、私を容赦なく攻撃する。
きっと、花園が無くなって身を守るものがないせいであろう。
はあっとため息を漏らす。
カットモデルをしたことは夢だと思って忘れてしまえば良い。
一緒に水瀬さんに恋したことも全部忘れて、なかったことにしてしまえたら良いのになあ。
はしゃぐ唯香を宥めつつ物思いにふけっていると、いつの間にか指定された時間になっていた。サタンは程なくしてその姿を現した。
「後ろのふたりは誰だ?」
開口一番にサタンが尋ねると、私の背中に隠れていた二人組が揃って自己紹介を始めた。
「初めまして!!妹の唯香です!!この度はどうしようもない姉の変身にご協力して下さり、ありがとうございます!!微力ながら私もお手伝いさせて頂きます!!」
唯香はサタンに向かってビシッと敬礼をした。
上官と崇めるその仕草に、お前もそっちの仲間かと言ってやりたくなる。
それにどうしようもない姉とはなんだ!!
ひどいじゃないか!!
腹いせにこっそり脇腹をつまむと唯香はひやん!!と叫んで悶え始めた。