秘密の花園
「次はこっちだ」
まみちぃのスパルタメイク講義が終わったと思ったら、今度はサタンが手招きをしてくる。
正直、消化しきれない単語でお腹いっぱいだった。今にもゲップが出そうだ。
サタンは逃げ出そうとした私をセット椅子に強制連行すると、美容院でよく使われている小物家電を渡してきた。
「なにこれ?」
「ヘアアイロンに決まってるだろう」
「ほほーう……なるほどなるほど」
「お前、なんの道具か絶対分かってないだろう」
「うん★」
頭をコツンと叩いてぺろりと舌を出すと、魔王お得意のブリザードが吹き荒れる。
「今日はひとまず、俺が手本を見せてやる。家でも練習しろよ」
「うげろー」
うえーと顔を歪める。練習なんて言葉は大嫌いだ。
そうやって不満を訴えていると、小声で囁かれる。
「……絶対服従だろう?」
……すっかり忘れていた。
私を可愛くする代わりにサタンの言うことに絶対服従。
それが、契約だ。クーリングオフ不可なんて、どこぞの闇金融もびっくりだ。
「これから毎日、店に来い。言われたことが出来ているか、全身チェックするからな」
「毎日……?」
「……絶対服従だろう?」
再度、念を押される。