秘密の花園
「まみちぃ」
講義室に入るとまみちぃは直ぐに見つかった。
300人は収容できるだだっ広い講義室の中で、グループで固まらず一匹狼のように佇んでいれば嫌でも目立つ。
私は迷いなくまみちぃの隣に陣取った。
これから行われるのは全学部共通の教養課目の授業である。学部は違えど受講する内容は同じだ。
バッグから教科書とペンケースを取り出して机に並べていると、まみちぃは私の顔を覗き込んでにいっと笑った。
「上手いことできているじゃない」
まみちぃが言っているのはわざわざ早起きして取り組んだメイクと髪型のことだろう。
サタン直伝のゆるふわ内巻カールで全体を仕上げて。
両サイドの髪の毛をねじってヘアピンでまとめれば、簡単アレンジヘアの出来上がり。
化粧はベーシックなブラウン系、差し色のパープルで少しだけアクセントをつけて。
マスカラをたっぷり塗った睫毛は上品な扇形に仕上げれば、やぼったい印象だった目元は見る影もない。
割と上手く出来たんじゃないかなと自分でも思っていたので、まみちぃに褒められてちょっと嬉しい。