秘密の花園

下心の塊


「これ、良かったら受け取ってください!!」


「へ?」


たまたま隣に座っていた男子学生が私に向かってノートの切れ端を渡してきたのは、授業が終わって早々に講義室から立ち去ろうと椅子から腰を上げた時だった。


ゴミならゴミ箱に捨てろよと思いながら、差し出された切れ端を受け取る。


あれ?


切れ端に書かれていたのは携帯の番号とアドレス。超、個人情報。


どういうつもりだ?


切れ端から渡してきた学生に視線を移す。


「良かったら連絡下さい!!」


彼は爽やかにそう言うと、荷物を持って講義室から駆け出して行った。


「あっ!!ちょっと!!」


引き留めようと伸ばした手はあえなく空を切った。


ひとり残された私は心の中で虚しく呟くしかなかった。


どーすんの、これ?


悩んでいる間に次の授業を受ける学生達が講義室に入ってきてしまったので、私は仕方なくもらった紙切れをカバンに押し込んだ。

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