秘密の花園
「なあにこれ?」
まみちぃは椅子に座るなり、テーブルに置いてあった紙切れをつまんだ。
「授業の終わりに隣の席に座っていた人にもらったの」
まみちぃはふーんと感心したように呟くと、さも楽しそうに私の脇腹をつついた。
「良いじゃない。電話しちゃえば?」
「なんでよ?」
そもそもこっちは渡してきた人が誰かも分からないというのに。
第一、私は宗教の勧誘や詐欺の類はきっぱりお断りしております。
「その人、きっと理香が可愛いから放っておけなくなったのよ」
ポロっとパンくずが口から零れ落ちる。
私は食べかけのパンを思わず取り落とした。
まみちぃに言われるまで、まったくそういう思考にならなかった。
つまり、これは下心の塊っていうことですか!?
「え――――!!」
私の叫び声はラウンジの学生だけでは飽き足らず、屋外を歩いていた人の足すらも止めた。