秘密の花園
私だって嵐子のしていることはどうかと思う。
まるで、駄々をこねている子供だ。
メニューの内容や混雑具合によって待ち時間が発生することもある。予約していないならなおさらだ。
……なんかムカつく。
確かに私だって最初は、キラキラして、ゴージャスで、そこはかとなく漂う高級オーラにタジタジになっていたけれど。
毎日通っている内にそれなりに良さだって分かってきたつもりだ。
……ここに来たらお姫様みたいに綺麗にしてくれる。
そのドキドキ感と安心感、非日常への憧れをお客さんは求めているのだ。
サタンとあずなさんが作り上げた癒しと寛ぎの空間は、嵐子のせいでぶち壊しだった。
その上、最悪な店なんて言われて黙っていられるか!!
私はずんずんと歩いて行って、サタンと嵐子の間に割って入った。
「ちょっと!!あんた!!黙って聞いていれば、言いたい放題うるさいのよ」
ふっと拳に息を吹きかけてやる。
この拳骨でも口に放り込んでやれば静かになるだろうか。