秘密の花園
宣戦布告
「はあ……」
私は食べようと口元まで持って行ったパンの袋をテーブルに戻した。
お腹は空いているし、パンはとても美味しそうに見えるのに、どうしても喉を通らないように思えた。
「どうしたの、理香?ため息なんてついちゃって」
まみちぃは私とは対照的に学食で買った蕎麦をもりもり啜っていた。
「……自分の性格がとことん嫌になったの」
昨夜のことを思い出して、また気分が落ち込む。
断ったのにサタンはきっちり私を家まで送り届けてくれた。
“理香、お前しばらく店に来るな”
……最後にそう言い添えて。
サタンの表情は暗くて良く見えなかった。
ただ、あいつの後ろ姿がどこか寂しげに思えたから。
慰めなくちゃと思って伸ばした手はサタンのシャツを掴んだ。
“どうした?”
“なんでもない”
……こんな事態に陥った元凶がどの面下げて慰めるっていうんだ。
私はそう言うとあっさりと手を離したのだった。