秘密の花園
「そんなに言うなら、みんなに決めてもらう?」
嵐子は学食に貼ってあったポスターを手で示した。
「ミスキャン?」
エントリー者募集のポスターは目立つように掲示板の中でも一等地に貼られていた。
毎年、最終日に行われるミスキャンパスを決めるコンテストはうちの学祭の目玉である。
芸能活動への足掛かりになったり、就活の履歴書にも堂々と書けるほど知名度があるらしい。
それだけに注目度も高く、毎年見物客が殺到してコンテスト会場には入場規制がかかるほどだった。
「怖気づいた?逃げ出すの?そうよね、嵐子がミスキャンパスに間違いないもの!!」
こいつ!!黙っていれば、調子に乗りやがって!!
嵐子の魂胆は分かっている。大舞台で私をコケにしようって寸法だ。
……だけど、女には引いてはいけない時がある。
「良いわよ!!受けて立ってやる!!そのかわり、私が勝ったらブログの記事を訂正してもらうからね!!」
勝負の時は先だというのにもうバチバチと火花が飛ぶ。
「それは楽しみね?」
「首を洗って待っていなさいよ」
嵐子はバカにしたようにふっと笑うと、髪をなびかせて学食から立ち去って行った。