秘密の花園

ふむふむ。


砂糖大さじ3杯に、お醤油大さじ1杯、呪いたい相手の髪の毛一束に、イモリの尻尾を混ぜてと……。


おっと、その前に鍋にがまの油を入れて温めるのね!!


ワンポイントアドバイスを読み飛ばしていたことに気が付いて、もう一度最初から復唱しなおす。


砂糖大さじ3杯に、お醤油大さじ1杯……。


鍋の中でコトコト56時間煮詰めるところまで進んだ時、どさっとカウンターに大量のマンガが置かれた。


反射的に本から顔を上げると、にこにこと眩しい笑顔に迎えられた。


「お会計、良いですか?」


「み、水瀬さん!!」


いつの間にご来店遊ばされたのですか!?


私は素早く『家庭で出来る100の妙薬』を水瀬さんから隠した。


ご家庭で妙薬を作るような女だと誤解を招いてしまったら、目も当てられない。


乱れた呼吸を整えて動揺を悟られないようにすると、水瀬さんの置いたマンガの会計に取り掛かる。


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