秘密の花園
サタンは頭上に疑問符をつけながら、靴箱の上にマンガを置いた。
その姿をじっと目で追う。
本当に……怒っていないのか?
疑うように見つめていると、視線に気が付いたサタンが不機嫌そうに尋ねる。
「なんだよ」
「いや、元気そうだと思って」
「お前こそ、今日は大人しいな。腹でも減っているのか?飯でも食いに行くか?」
子供か、私は!!
いや、サタンからしたら子供のようなもんか。
サタンが何歳なのかは知らないけど、水瀬さんより年上だろうし20代後半くらいか?
私ははあっと息を吐くと、からかうようにニヤニヤと笑みを浮かべているサタンに言った。
「絶対、何とかしてみせるから。安心して」
「……は?」
「じゃ、帰るわ!!」
「おい!!理香!!」
名前を呼んだサタンを無視して駆け出す。
サタンの顔を見て、思い出したのだ。
確かに魔法は使えないけれど。
……私にはあいつがくれた“女子力”と言う名の戦闘スキルがあることを。