秘密の花園

「どうも、姉の理香です。おバカな妹がお世話になってまーす」


「……ちょっと、余計なことまで言わないでよ!!」


そう言われて、足を踏みつけられる。


小指に走った痛みをニヤニヤとした笑いで打ち消す。


唯香ってば照れちゃって!!


「本当は、お姉ちゃんのことが心配で様子を見に来たくせに!!」


お姉ちゃんはわかっているんだぞ、えっへん!!


うりうりとからかうように肘で脇腹をつつけば、唯香の頬が紅潮する。


「……違うもん」


……萌えだ。現役女子高生から“萌え”頂きました!!


照れる妹の頭をよしよしと撫でてやる。


ミスキャンにエントリーしたと言った時の唯香といったらなかった。


きゃーと悲鳴を上げたかと思うと、次の瞬間には顔が真っ青になっていた。


……あまりにもひどい顔色だったので倒れるかと思った。


結局、持ちこたえてマリサンカートの練習に付き合ってくれたけれど。


正攻法では勝てないことは百も承知していたのだろう。


一次審査でマリサンカートを披露することに関して、唯香はノーコメントを貫いた。

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