秘密の花園
二次審査
オレンジ色のガーベラで出来たブーケは真っ白なウェディングドレスに良く映える。
息を思い切り吸い込むと、漂う甘い香りについ頬が綻ぶ。
サタンがかけた魔法は、緊張をほぐす効果もあったようだ。
あの人ってもしかして良い魔王なのか……?
むぅっと口をすぼめながら、これまでの出来事を振り返ってみる。
初対面の時に追いかけ回されたのは、私が腹に一発かましたからだし。
挑戦状を叩きつけたときに怒鳴られたのも、仕事の邪魔をしたからで。
水瀬さんが結婚しているって話をしなかったこともきちんと謝ってくれた。
酔っ払っておんぶしてもらったことだってあった。
可愛くなりたいとぼやいた時だって、ショッピングに連れ出して、技を伝授してくれた。
そうだ、なんだかんだいってあいつにご飯も奢ってもらっている。
……あれ?
なんか、普通に面倒見の良い人じゃん。
今まで奴に対しては敵対心しか持っていなかったけど、態度を改めた方が良いかもしれない。
……でも、今更?
腕組みして何か良い方法がないものかと考えていると、控室の扉がバンッと勢いよく開いた。
「出場者の皆さん、ステージに上がってください!!」
いよいよ、ミスキャンも大詰めだ。