秘密の花園
控室からぞろぞろと歩いて舞台袖までやってくると、会場のざわめきが一層大きく聞こえた。
階段を上るとコツコツとヒールの音が響く。
最初のひとりがステージに姿を現すと、わあっと会場から歓声が上がった。
前を歩く嵐子に続いて足を進める。
背中を蹴り飛ばしたい気持ちはなんとか抑えた。
正々堂々勝負しないと、応援してくれたサタン……いや、佐田さんに失礼な気がしたからだ。
ステージにこの日の為に用意されたのか豪勢にレッドカーペットが敷かれていた。
ウェディングドレスと相まって、まるでお伽噺に出てくる舞踏会のようだなと思った。
「それでは、最後にアピールコメントをどうぞ」
司会者がそう言ってマイクをエントリーナンバー1番の子に渡した。
当たり障りのないコメントが続いていく中で。
私は。
会場に。
……水瀬さんの姿を発見した。