秘密の花園
ミスキャンの会場はさすがに目立つので、私達は校舎裏に場所を移した。
学祭の盛り上がりとは対照的に、校舎裏には誰もいなかった。
けれど、今はそれがちょうど良い。
「それで……話って何かな?」
水瀬さんと正面から向き合うと、不思議な気持ちになってくる。
最初に出逢った時は、まともに顔も見られなかったのに。
……今なら言えるだろうか?
だって、今の私はかつての妄想の通りドレスを着ているし、メイクだってバッチリだ。
あと必要なものは、ほんの少しの勇気だけだ。
ぐっと意を決して顔を上げる。
もう、おどおどした自分を水瀬さんに見せたくない。
これ以上、花園に逃げ込むわけにはいかないのだ。
自分の気持ちにケリをつけなければ、育った想いはこの先どこに行けばよいのか迷子になってしまう。
それはあまりに可哀想だ。
誰かを好きになる気持ちはきっと何より尊いから。
……私は言うと決めたんだ。