秘密の花園
「あずなさんは気にしてないと思いますよ」
「まあ、これは男のプライドの問題だからね」
そう言って、苦笑いする水瀬さんからはあずなさんを心から愛しているということが窺えた。
ホントに敵わないなあ……。
私の分け入る隙間なんて一ミリもない。
告白したことそのものが急にバカらしくなって、堪え切れずにクスクスと笑い出す。
水瀬さんはその様子に目を細めていたかと思うと、腰を屈めて私の頬に小さな、触れるだけのキスをくれた。
いきなりの出来事に面喰う。
キスをされた頬に手をあてがう。そのままえいっと力をいれて、抓ってみる。
痛い……!!
気合のあまり、力を入れ過ぎたようだ。
これは夢じゃない。王子様がくれた本物のキスだ。
ぼうっと水瀬さんを見上げると、今度は両手を握られた。
「理香ちゃん。俺達、友達になれないかな?」
「友達?」
ぶんぶんと左右に手を揺らされる。このまま、くるくると踊りだせそうだ。
「そう、一番の友達。佐田さんからハリセンを食らったもの同士、気が合うと思わない?」
「ふふ、おかしい!!」