秘密の花園
捨て嵐子
ピグマリオン、ピグマリオン……。
忘れないように心の中で呟く。
あの時、水瀬さんが意味深なことを言うものだから。
少し気になって、大学の図書館で関連書籍を探してみることにしたのだ。
検索ワードに“ピグマリオン”と打ち込んで、端末のボタンをクリックする。
画面にずらっと書籍の名前が並ぶ。
適当にいくつかを選択して、書籍の位置をプリントアウトして本棚を探した。
目当ての本を発見してぺらぺらとめくれば、他のギリシャ神話に混じって、ピグマリオンの物語が紡ぎだされていく。
ピグマリオン。
要約すると。
女性に失望した彫刻家のピグマリオンは自分の理想の女性の像を作っちゃって。
その像のあまりの美しさに恋をしてしまったピグマリオンは毎日、ああこれが人間だったら良いなあと願い続けて。
その姿を哀れに思った女神様が女性の像をガラテアという名前の人間にしてくれたと。
ふたりは末永く幸せに暮らしたのでした。ちゃんちゃん。