秘密の花園

「お待たせ」


「うう!!っく!!えっぐ!!」


そう言って片手を振るまみちぃの隣には、顔をぐしゃぐしゃにした嵐子が手を引きずられるようにして立っていた。


……捨て嵐子だ。


これはまぎれもない捨て嵐子。


疑ってごめん、まみちぃ。


「どうしたの?」


「講堂の前で男に振られて泣いていたところを拾ってみました」


「うう!!っ!!」


嵐子のしゃくり上げるような嗚咽は止まらない。


「鼻水拭く?」


私はバッグからポケットティッシュを取り出して、嵐子に差し出した。


嵐子はそれをぶんどると、鼻と目尻に当てがった。


「ほら?この間の学祭でミスキャンパスと一緒にミスターキャンパスも決めたじゃない?」


「ああ、やってたねー」


ミスキャンほどは盛り上がらなかったけれど、ミスターキャンパスも同時開催されていたと記憶している。


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