秘密の花園
「お前、カットモデルやらねえ?」
「は?」
ポカーンと口が開きっぱなしになる。
カットモデル?
ごめん、なにそれ。
「変わる気があるならここに来い」
名刺を渡され、思わず受け取る。
“佐田 和馬”
それがサタンの本名だった。
ベンチから立ち上がり、スタスタと歩き出した奴に問いかける。
「あんた…何者なの…?」
サタンが振り返ってニヤリと不適に笑う。
「美容師」
こんなふてぶてしい美容師がいてもいいのか…?
「言っておくが俺は純より腕利きだぞ」
太陽の光を背に浴びたサタンはゆっくりと立ち去っていった。