秘密の花園



「ホントに送ってかなくていいのー?」


「なに言ってんの?家なんてすぐそこじゃない」


どうなってるかさっぱりわからない紐だらけの靴を履き終えたまみちぃは素っ気なく答えた。


オシャレ星人は足元までオシャレだ。


「理香」


靴の構造を考えていると、まみちぃがいたって真面目に私の名前を呼んだ。


玄関にまみちぃの静かな声が響く。


「ゲームの世界もいいけど、ほどほどにしなさいよ?」


ぐっと息を詰まらす。


まみちぃにはきっとバレている。


押し入れの中にはおびただしい数の乙女ゲーとその関連商品がしまってあること。


「わかってるよ」


自分でも昔より酷くなってるって自覚している。


でも止められない。


花園はジワジワと広がり、今や私の生活の中心を担っている。



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