秘密の花園
「ほら、礼ぐらい言えねーのか?」
天使様に促されて慌てて身を屈める。
上から見ても正面から見てもやっぱり天使の置物だ。
大事な所は左手でそれとなく隠してあるのがなんとなく恥ずかしい。
でもこの天使様おかげでお店が見つかったのも確かなので。
「あ…ありがとう…ございました…」
置物の天使に向かって頭を下げる女なんてきっと私くらいだ。
自分の順応力の高さに脱帽しちゃう。
天使様は当たり前だけどニコリともせずに言った。
「どういたしまして~。気をつけな。そこの階段は結構急だぜ」
「それはどーも」
そう答えてガラス扉を開ける。
この世にはサタンも天使もいる。
そして天使はそこそこ親切だった。