秘密の花園
「黙っててやるから、当日はつべこべ言わず大人しくしてろよ」
コーヒーに夢中になっている時にそんなことを言うもんだから、うっかり聞き逃しそうになってしまった。
「当日?練習に当日も何もあんの?」
「お前のやるカットモデルはこっち」
どこに隠し持っていたのか、サタンが雑誌をテーブルの上に置いた。
雑誌とにらめっこした後、眉間に皺を寄せながら尋ねる。
「なにこれ」
「某有名ファッション雑誌。まあ、お前は見たことないだろうな」
失礼な!!これでも本屋の店員の端くれなんだぞ!!見たことあるわ!!
…表紙だけ。
「それで…この雑誌に一体なんの関係が?」
雲行きが怪しくなってきたのを薄々感じる。
サタンは事もなげに説明した。
「お前が出るのはこれの読者コーナー。髪を切って、お披露目して写真撮ってもらうのまでがお前の仕事。もちろん切るのは、俺」
「…は?」
これぞまさに寝耳に水の話だった。