秘密の花園
シミュレーション5
ピンクのもやもや
「また連絡する」
半ば強制的に携帯の番号とアドレスを書かされた後、ふたり揃って店を出る。
もはや私のヒットポイントはゼロである。
撃沈だーい…。
この数分ですっかり痩せたような気がする。
このままいっそ消えてしまいたい。
さすればこれから先、誌面で恥をかかないで済む。
そんな私の思考を読みとったかのように、サタンが口を開く。
「原田理香」
「はい?」
完全に油断しきっていた私は愚かにもサタンの真横にボーっと突っ立っていたのだ。
「逃げるなよ?」
ひぃっ!!
いきなり鋭い睨みをきかせながら、頭を鷲掴みにされる。
「返事は?」
この男と手が切れるまで果たして私は無事でいられるのだろうか。
「…わ…わかりました…」
逆らったら死が待っている。そんな気がした。