秘密の花園
ちちんぷいぷい。
目を開けたらこの雑誌の女の子みたいになーれー。
よし。
訳の分からない気合を入れて、薄っすらと片目を開けて自分の服装を検める。
いつものジーンズの生地が見えた瞬間、チッと舌打ちをする。
やっぱりダメか。
こんな使い古された呪文で己を変えられたら苦労しない。
したがってサタンの提案を呑むしか、オサレガールになる方法はないのだ。
ふうっ吐息を吐きながら店長がいない間に棚から掠め取ったファッション雑誌をパタンと閉じて肘を机について顎を乗せる。
相変わらず今日もお客はいない。
バイト先変えようか本気で悩むところだが、結局私はここで働くことを選ぶ。
だって私しかいないんだもん。アルバイト。
他の人がいない分、融通も利くし、なにより人間関係で揉めない。なんとも楽な職場だ。