秘密の花園




そう。


私はそもそも人と話すことがそんなに得意ではないのだ。


人格形成の大切な時期である思春期にどっぷりと乙女ゲーにはまっていた弊害なのだろう。


まみちぃや唯香ならともかく、初対面の人と楽しく会話できた試しがない。


つまり極度の人見知りなのだ。


それに加えて、ヒトに対するの興味も薄い。自分から他人と関わりあいになろうとは思うことは滅多にない。


そんな私が理由はどうあれ誰かに恋したということ自体が奇跡に近い。


自分でも不思議だ。


まさかこんなファッション雑誌を片手にため息をついてるなんて。


これが世にいう恋する女子の力だというのか。


いまに窓枠に手をつきながら「ああ私の王子様…」なんて言いだしちゃうんだろうか…。


叶わない恋に涙して枕を濡らしたりなんかしちゃって…。


段々とピンクのもやもやが頭の中を支配していく。



< 79 / 289 >

この作品をシェア

pagetop