秘密の花園




どれくらいの時間が経っただろう。


妄想の中で水瀬さんと手を繋ぐところまできて、ようやくハッと我に返る。


「どぅおらっしゃい!!」


私は思い切り机に頭を叩きつけた。


額に鈍い痛みが走ってようやく正気に戻ることができた。


な…なんて恐ろしい…!!


気恥ずかしさのあまり思わず奇声まであげてしまった。


自分が少女マンガのような夢見る思考回路に陥っていたなんて信じられない。


これが乙女の力!?アワワワワワ!!


それもこれも全部サタンのせいだ。


あいつが妙なことを言い出すから頭がまだ混乱してるに違いない。


落ち着け。


まだあいつの手に堕ちるわけにはいかないんだ。


私は花園の最後の砦。


容易く踏み荒らされてたまるものか。




< 80 / 289 >

この作品をシェア

pagetop