秘密の花園




「健闘を祈るぜ、ねぇちゃん」


そう言う天使様に見送られて、サタンのいるであろう美容院の階段を上る。


扉の前で一度立ち止まって大きく息を吸い込んだ。


何事も最初が肝心。初対面から30分の時点でにっくきサタンとの力関係が明確になったのは記憶に新しい。


私は美容院の扉を大きく開け放って叫んだ。








「たのもう――――――!!!」









道場破りだってこんなに大きな声は出さなかったかもしれない。


ぐるりと店の中を見回すと、シャンプーをしている店員も、雑誌を読んでいるお客さんも皆一様に一体何事なのかと、私を凝視していた。


サタンですら呆気にとられて、ハサミを持つ手が止まっていた。


ある意味この奇襲作戦は成功したのだとほくそ笑む。


「この諸悪の根源!!受け取りやがれ!!」


奴の顔面に向かって“あるもの”を投げつける。それはぺシンと音をたてて命中すると、床に落っこちた。




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