ヒマリュウ-Ⅲ-
…でも今殴ったら、それこそお客さんがいなくなって、首にでもなりかねない。
それだけは何としても避けなくちゃだ。
結婚式のために。
「――…ありがとうございました。いらっしゃいませー」
…かなり棒読みなのは、気にしたら終わりだ。
終わりだとは思うんだけど…、
『…感情込めろよ…』
「あ゛?」
気になっちゃうものはしょうがない。
ボソッと呟いたつもりだったんだけど、どうやら聞こえたみたい。
その証拠に、本人は眉間にしわを寄せて、かなり不機嫌そう。