ヒマリュウ-Ⅲ-



入場の時に見たから、来てくれていたのは知っていた。

…ただ、華奈ちゃんがスピーチしてくれるとは思わなかっただけで。



「桃さん、冬可さん、舞さん、恭哉さん。ご結婚、おめでとうございます。」



とびっきりの笑顔と共に、紡がれた最初の言葉。

そして下げられた頭に、あたし達も頭を下げる。



「私は、桃さんと舞さんに憧れて…ずっと族を続けてきました。」



…さすがはあたし達の関係者。

爆弾発言にも近いのに、ざわめき一つ起きない。



「そして今も、ふたりに対する憧れの気持ちは変わっていません。そんなお二人が結婚してしまうのは…悲しいけど、私はお二人の幸せを願ってます。」



……なんか、誤解を招きそうな言い方にも聞こえるけど。

うん、気にしない…!



「どうか、末永くお幸せに…!…あ、冬可さんも恭哉さんも、お二人を虐めたら………許しませんからね?以上です!」



そうして終わったスピーチ。



……ふふ、華奈ちゃんらしい。

舞もそう思っているのか、笑顔を浮かべていた。



まぁ、男共は固まっていたけど。



< 279 / 287 >

この作品をシェア

pagetop