ヒマリュウ-Ⅲ-
入場の時に見たから、来てくれていたのは知っていた。
…ただ、華奈ちゃんがスピーチしてくれるとは思わなかっただけで。
「桃さん、冬可さん、舞さん、恭哉さん。ご結婚、おめでとうございます。」
とびっきりの笑顔と共に、紡がれた最初の言葉。
そして下げられた頭に、あたし達も頭を下げる。
「私は、桃さんと舞さんに憧れて…ずっと族を続けてきました。」
…さすがはあたし達の関係者。
爆弾発言にも近いのに、ざわめき一つ起きない。
「そして今も、ふたりに対する憧れの気持ちは変わっていません。そんなお二人が結婚してしまうのは…悲しいけど、私はお二人の幸せを願ってます。」
……なんか、誤解を招きそうな言い方にも聞こえるけど。
うん、気にしない…!
「どうか、末永くお幸せに…!…あ、冬可さんも恭哉さんも、お二人を虐めたら………許しませんからね?以上です!」
そうして終わったスピーチ。
……ふふ、華奈ちゃんらしい。
舞もそう思っているのか、笑顔を浮かべていた。
まぁ、男共は固まっていたけど。