ヒマリュウ-Ⅲ-
「…分かんねぇなら、わかんなくていい。」
『…うーわ、仲間外れだ。』
「違ぇだろ」
『そうじゃん!!』
「じゃあ、察しろよ」
『だから、何を!!』
さっきっから、みんな意味不明。
主語のある会話をしようよ、主語のある会話を。
「要するに、皆に桃の笑顔は見せたくない、ってことよ。」
ですよね、冬可さん?
舞に同意を求められた冬可は、珍しく顔を赤くして余裕がなさそう。
『あたしの笑顔?…なんで?』
笑顔なんて、皆見せるじゃん。
不自然なコトなんて何もないのに。
あたしがまた小首を傾げれば、今度は全員が溜息をつく。
そして同情の目を、なぜかあたしに…
ではなく冬可に向けている。
…冬可関係ないし。