ヒマリュウ-Ⅲ-
「…あぁ」
納得しているかどうかは疑問だけど…
一応頷いたからいいとしよう。
…残るは恭哉、ね。
恭哉に目を向けるけど、下を向いているからどういう表情なのか、いまいち分からない。
…まずは舞を起こそうかな。
『舞ー…―――』
「…いや、それだけは辞めよう!!」
…が、名前を呼んだ瞬間。
今まで俯いていたはずの恭哉に、思いっきり手で口をふさがれた。
鼻までふさがれているため、息が出来なくて息苦しい。
…と思ったら。
「…い…って…」
ゴツン…と言う音と共に口と鼻を塞がれていた手はなくなり、後ろを振り向けば
何故か頭を抑えて痛がっている恭哉と、おろおろとどうしようか迷っているハヤト。
そして、一際涼しい顔をしている冬可が目に入った。
「…誰の口塞いでんだよ」
…その本人はどうも機嫌が悪いみたいで。
「次やったら…知らねぇよ?」
あたしへの怒りが、思いっきり恭哉にむけられていた。