ヒマリュウ-Ⅲ-
そういえば、と。
『緋舞返してよ』
何の為に来たのか、目的を忘れそうになっていたことを思い出して、
隣に寝転がる坂野に聞いてみた。
「ああ。んじゃぁ中行くか」
『…あ、うん』
…案外いいやつ?
こんなにあっさりと返してくれるなんて思っても見なかった。
とりあえずまぁ、あっさり過ぎたから、
少しは警戒してたんだけど…。
「はいッ」
『ありがと』
溜まり場に入るなり、何故か笑顔の緋舞を連れてきてくれた。